おはようございます、小野です。
今回は、日本国内で少し気になるニュースがありましたので、
それについて触れてみたいと思います。
「技術・人文知識・国際業務」、通称「技人国(ぎじんこく)」という在留資格で、
新たに日本へ入国する外国人が減少に転じている、というニュースです。
技人国とは、いわゆる大卒程度の学歴や専門性を持ち、営業、経理、エンジニア、
通訳などの仕事で日本企業に勤務する高度外国人材が利用する在留資格です。
タイの日系企業でいえば、皆さんが普段採用されている大卒のタイ人スタッフのような人材を
イメージしていただければ分かりやすいと思います。これまで技人国で日本に在留する外国人は
毎年増え続け、2025年末には約47.6万人に達しました。ところが、新たに日本へ入国する人に
ついては、昨年秋頃から前年割れが目立ち始め、今年に入ってからも減少が続いています。
その理由として、メディアでは企業側の外国人採用に対する考え方の変化や、審査の厳格化など、
様々な理由が挙げられています。
さらに今年10月からは、在留資格の更新手数料も大幅に値上げされます。
例えばオンライン申請の場合、現在5,500円の更新手数料が、1年間の更新なら27,000円、
3年以上5年未満なら56,000円、5年以上なら65,000円になります。
確かに、かなりの値上げです。
ただ、このニュースを見て、私が気になったのは、少し違うところでした。
「そもそも高度外国人材にとって、日本で働く経済的な魅力そのものが落ちているのではないか?」
ということです。
もちろん、在留資格の更新費用が数万円に上がることは、外国人本人にとって負担です。
ただ、本当に採用したい優秀な外国人人材であれば、この程度の費用は会社が負担してでも
採用したい、と考える企業は少なくないのではないでしょうか。
ちなみにアメリカでは、高度人材向けの就労ビザについて、新規申請時に10万ドルを超える、
日本円で1,500万円以上の手数料を課す案まで打ち出されています。
日本の数万円とは、文字通り桁が違います。
では、技人国で新たに日本へ入国する外国人が減っている本当の理由は何なのでしょうか。
7月に、当コラムで「安すぎるっ!!」というタイトルの記事を書きました。
タイ人から見ると、今の日本はとにかく安い。
円安に加え、タイの物価や給与水準が上がったことで、日本を旅行したタイ人から、
「日本、メチャ安かったです!!」
という話を本当によく聞くようになりました。
街は綺麗、安全、料理は美味しい、サービスも良い。そして、安い。
旅行先として考えれば、こんなに魅力的な国はありません。
しかし、「旅行する国」ではなく「働く国」として考えると、話はまったく逆になります。
旅行するなら「安い日本」は嬉しい。
でも日本で働けば、その「安くなった円」で給料をもらうことになります。
これはタイ人だけの話ではありません。
タイを含む東南アジアの国々では経済成長とともに給与水準も上がり、優秀な高度人材ほど、
自国で働く、外資系企業で働く、シンガポールなど他国で働く、と様々な選択肢を持つようになりました。
一昔前、タイをはじめ東南アジアの若者にとって、「日本へ行って働く」ということ自体が一つの
夢や憧れだった時代がありました。
私自身、長年アジアで人材に携わってきましたので、そんな時代を実際に見てきました。
それが今では、日本も数ある就職先の選択肢の一つ。
随分と時代が変わったな、、、と感じます。
もちろん、日本には安全性、生活環境、文化、技術力など、今でもたくさんの魅力があります。
ただ、「働いて稼ぐ」という経済的な面では、かつてのような圧倒的な存在ではなくなってきている。
今回の技人国のニュースを見ながら、私は新規入国者数が減ったという事実以上に、世界の中での
日本の経済的な立ち位置が随分変わってきたことを感じてしまいました。
「旅行したい国」としての日本は、今も非常に魅力的。
では、
「働きたい国」としての日本は?
タイを含む東南アジアの優秀な高度人材から、これからも「日本で働きたい!」と
思ってもらえる国であり続けられるのか。日本人として、少し考えさせられるニュースでした。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。(小野)