小野国際社会保険労務士事務所

「できる」の基準が違う

おはようございます、小野です。

「私には営業経験と実績があります。」 タイで採用面接をしていると、こんな感じの言葉を自信満々に伝えてくる応募者に出会うことが

あります。ただ実際にはその経験は、半年や一年ほどということも少なくありません、、、^^;

しかし当の本人は本気で「できる」と思っていることも多く、これは日本人の感覚だと大きな

ギャップに感じるポイントかもしれません。

タイに赴任されたばかりの日本人リーダーの多くが最初に戸惑うのが、この「自己評価の違い」。

日本では面接といえば人事部の業務になりますが、赴任前は営業や技術の業務が専門だった

リーダー自身が、海外赴任後に初めて採用面接をすることも多く、慣れないまま採用判断を

しなければならない状況が日常的に起こります。しかも、多くの企業は人手不足で、

「できればこの人に入ってほしい」という気持ちがどうしても働いてしまうことがあります。

そうした期待が無意識に判断を鈍らせてしまい、採用後・入社後にリーダー自身が苦労する

羽目になる、、、これはタイ日系企業ではよくある話です。

タイ人の背伸びして話すスタイルについて、我々日本人は「大げさに言ってるのでは?」と受け取り

がちです。ただタイ含む海外では転職が一般的で、短期間で会社を渡り歩く文化があります

(もちろん、一つの企業に長く腰を据えて働きたいというタイ人も、以前と比べ増えてきましたが)。

自分を良く見せることはごく自然な振る舞いであり、悪気のある嘘ではなく「アピールの一部」として

自然に身についているものだと感じます。日本的な“控えめな自己紹介”とは、そもそも文化の

前提が違うわけです。とはいえ面接する側としては、応募者が語る内容をそのまま受け取るわけには

いきません。その言葉が「本当に経験に裏付けられたものなのか」を、確かめることが重要です。

例えば「営業経験があります」と言われたら、 「どんな企業を担当していましたか?」 「目標はどれくらいで、どれくらい達成しましたか?」 「実際の商談ではどんな流れで進めていましたか?」 と、具体的な場面を掘り下げていきます。

本当に経験していれば関わった相手や実際の数値など、自身の経験や実績などが自然と

出てきます。逆に、表面的にしか関わっていなければ説明が曖昧になります。

ここで判断できるのは、「スキルの有無」というより、どれだけ深く関わっていたかという点です。

面接時に、簡単にその場で実施することも可能です。 例えば営業職なら、勤務先の商品を簡単にPRしてもらったり、事務職であれば実際の業務を

想定した簡単なタスクをしてもらったりします。プレッシャーをかける意図はありませんが、

話だけでは分からない「仕事の進め方」や「考え方」が、こうした場面では見えてきます。

これは単純に「この人が実際の職場でどう動くか」を再現してもらうだけのことです。

採用側にとっては判断材料が増えますし、応募者本人も「この会社で働くイメージ」を少なからず

つかみやすくなるというメリットがあります。

加えて、タイ人スタッフに同席してもらい、応募者の雰囲気を見てもらうことはより効果的で、多くの

企業が実践されていることです。やはり同じタイ人同士、日本人では拾えない「微妙な違和感」に

気づくことがあります。複数の視点で応募者を見ることで、採用の精度は高まります。

採用業務は簡単なことではありません。

特に異文化の環境では、言葉や印象だけで相手を判断するのは危険です。どれだけ応募者が

自信満々に語っても、その裏側にある事実を、できるだけ丁寧に細かく確認していくことが大切です。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。(小野)