「うちの会社は離職率がほぼゼロなんです。」
「もう退職者がかれこれ15年いないんです。」
おはようございます、小野です。
このような話を取引先から耳にすると、つい「すごい会社だな!」と思いがちです。
しかし、少し立ち止まって考えてみてください。
「離職率ゼロ」=本当に“良い会社”なのでしょうか。
タイでは(日本以外の海外と言ったほうが適切かもしれません)、キャリアアップのために
転職を繰り返すのはごく自然なこと。いわゆる「ジョブホッピング」です。
優秀な人材ほど、新しい環境でスキルを磨き、自分の市場価値を高めようと考えています。
離職率が極端に低い会社は居心地は非常に良いのかもしれませんが、社員は現状に
甘んじている可能性も否定できません。新しいことに挑戦する意欲が薄れ、変化を避ける
いわゆる「ぬるま湯」状態に陥っていないでしょうか。
これでは、会社全体に活気がなくなり、成長のチャンスを失ってしまいます。
もちろん、すべての離職がポジティブなものではありません。
大切なのは、その離職が前向きなものかどうかを見極めることです。
「評価されない」 「評価制度が曖昧」 「成長の機会がない」と、上司や職場環境に失望して
辞めていくケースは、組織にとって大きな課題です。
しかし、新しいチャレンジやキャリアアップを目指して前向きに次のステージへ進む退職なら、
それは個人の成長につながり、会社にとっても新陳代謝の機会となります。
退職は単なる「人材の流出」ではなく、組織を見直すきっかけにもなります。
退職面談で率直な意見を聞き、改善につなげることができれば、それはむしろ会社にとって貴重な
フィードバックです(≪コラム vol.568≫ 退職する部下からの貴重なフィードバック参照)。
離職という事象だけに目を向けるのではなく、その背景にある理由にこそ耳を傾けるべきです。
特に20代の若手社員に対し、「辞められたら困る」と手放すのを恐れる気持ちもわかりますが、
逆に彼らには積極的に挑戦の場を提供してあげたほうが良いでしょう。
外の世界で経験を積み、新しい知識やスキルを身につけた人材が、いずれさらに成長した姿で戻って
くるケースは、タイにおいても多々見られます。
そして、その経験が会社にも新たな価値をもたらします。
社員が辞めることを「損失」と考えるのではなく、それもまた組織の成長のプロセスだと捉えることが
大切です。優秀な人材ほど、成長のために新しい環境を求めるもの。
だからこそ、会社は「辞めさせない」ことを目的にするのではなく、逆説的に「いつか戻ってきたい」と
思われるような魅力的な職場づくりを目指すのもありだと思います。
離職率の低さにこだわるのではなく、「なぜ辞めるのか」をしっかり分析した上で、必要な改善を
おこなことが、結果的に会社の強さにつながると思います。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(小野)