小野国際社会保険労務士事務所

タイ人マネージャーも戸惑う若いスタッフの価値観

おはようございます、小野です。

「最近の若いタイ人社員とどう接すればいいのか難しい」という声をいただくことがあります。
実はこれは、日本人リーダーの皆さんのみならず、40代以上のマネージャークラスの
タイ人の方からも耳にすることがあります。
指示を出しても反応が薄い、少し注意するとすぐ落ち込む、逆にあっさり辞めてしまう。。。
かと思えば、こちらが驚くほど柔軟で新しい仕事をどんどん吸収していく人もいる。

今の若いタイ人社員の価値観は、ひと昔前とは大きく変わっているようです。

以前のタイ企業では、年長者や上司の言うことをよく聞き、職場の和を乱さないように働く雰囲気が
強くありました。しかし近年は、仕事に対する考え方が多様になり、「自分らしく働きたい」 
「プライベートも大事にしたい」というスタンスの人が増えています。日本でも同じ流れは起きています
から、「タイだけの現象」ではなく、世界全体で起きている価値観の変化の一部だと感じています。

例えば若い世代は、子どものころからSNSが身近にあり、人とのコミュニケーションもオンライン中心。
友人関係も職場も「フラット」であることが自然で、強い言い方や威圧的な態度には非常に敏感
です。これは国民性というより、育ってきた環境の違いが大きいと私は感じています。

また、「自分が納得したうえで動きたい」という傾向が強く、ただ指示されるだけでは動きません。
「この仕事はなぜ必要なのか」 「どういう背景なのか」を丁寧に共有すると、一気にモチベーションが
上がることがあります。逆に、説明が不足すると「理解できない=やりたくない」と受け止められて
しまうこともあります。

ある企業の日本人マネージャーは、若手社員に業務説明をしても毎回反応が薄く、
「やる気がないのか?」と不安になっていたそうです。ところが詳しく話を聞いてみると、
「質問したくても、遠慮して聞けない空気」が職場にあった、という理由でした。

これはタイ人スタッフに限らず、外国人の部下が日本人上司のもとで働くときによく起きる現象です。
意識して話しやすい空気を作ってあげると、驚くほど積極的に意見を出すようになったと言います。

タイの若い人たちは、決して怠け者でも、わがままでもありません。安心できる環境であれば、
能力を発揮するエンジンのかかり方はとても速いと感じます。逆に、不安やストレスが大きいと、
心を閉ざしてしまいがちです。

また、仕事に対する優先順位も特徴的です。日本では「結果を出して評価されたい」という考え方が
一般的ですが、タイでは「人間関係が自分に合うかどうか」が仕事選びの大きな基準になります。
上司や先輩と合わないと判断すると、早期退職につながることもあります。

では、我々が外国人上司としてできることは何でしょうか。

それは、「スキルの前に、安心して働ける土台作り」です。話を聞く、感情的に否定しない、
質問しやすい空気を作る。それだけで、若いスタッフの働き方は驚くほど変わります。

もうひとつ大切なのは、「正解を押しつけないこと」です。タイの若い社員は、自分で選び、自分で
納得して進みたいタイプが多いので、選択肢を提示しながら対話することが効果的です。

価値観が多様化している現代では、世代や国籍を問わず、働き方がどんどん変わっています。
その中で、外国人上司に求められるのは「管理」ではなく、「理解しながら伴走すること」です。

少し丁寧に話を聞くだけで、彼らの本音や強みが見えることも多いものです。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(小野)